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ＮＡＧＡＭＩ（以下Ｎ）：この度は当社のキリコ＆フィアナの原型製作をお引き受けいただき、ありがとうございました。
松浦健（以下松）：いえいえ、どういたしまして。
Ｎ：事の発端は「そろそろ、キリコのリアルスタチューが欲しいですね〜」と身内で話が盛り上がっていた時、海洋堂製の北斗四兄弟胸像を目にしたことでした。この造型作家ならば、史上最高のキリコのリアルフィギュアが作れる。この人が作ってくださるなら商品化すべきだ!! そう確信しました。
松：それはどうも（照） |
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Ｎ：ただ、当社としては、それまで全くお付き合いがありませんでしたし、まずは連絡先が分からない。何とか連絡を取る事が出来ても、果たして引き受けていただけるかどうか…最初は相当緊張しながら電話しました(笑)
松：そうだったんですか。そんなに構えなくても良かったのに。確かに初めて話をした時「この人は、本当によくしゃべるなぁ…」と内心そう思っていました(笑)
Ｎ：実際、話をしてみるとスケジュールも相当先まで決まっていると言われましたし、それでも何とか引き受けていただける内諾を頂けた時は、心の中でガッツポーズをしていました。
松：とにかく先が見えないくらい仕事も抱えてしまっていたのですが、スケジュールに関しても無理をきいていただきましたしね。本当はキリコというキャラクターに心惹かれていましたので、断りたくないという気持ちが強かったのが大きいんですけどね。
Ｎ：松浦さんと言えばあまり、アニメ好きな印象がしないんですけど…
松：そんな事ないんですけどね。先日もウェーブのタチコマのプラモデルを買いましたし(笑) 勿論、ボトムズは当時から大好きで、基本的にはリアルタイムで全て見てましたよ。まぁこういった形で自分がキリコをつくる事になるとは、当時考えてもみませんでしたけどね。
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Ｎ：そう、ボトムズやキリコを松浦さんが好きだったというのも、今回手がけてもらうにあたり良かったと思ったことの一つでした。とかくメカにしてもキャラにしても、マニアックな人気のものは、人それぞれに思い入れが強い。だから、ちょっとやそっとじゃ認めてもらえるものにならないのは良く分かっていたので、キャラを熟知していなければ話にならないですからね。
松：仕事の合間などを利用してまずDVDは一通り見直しました。スタートするにあたっては、どのキリコをモチーフにするかも、ウェーブとはよく話し合いをしましたね。いわゆる塩山版、谷口版などといった形でのお客様からのリクエストも実際あったそうですが、最終的には「ザ・ラストレッドショルダー」からのOVA3作のころのキリコ…特に「野望のルーツ」のキリコのイメージをもっとも重視するという事で製作しました。
Ｎ：そうでしたね。そしてテレビ画面と向き合っていたそうで…
松：そう、劇中のこのカットが欲しい! と思ったところで、一時停止してテレビ画面を写真に撮るという、超アナログな手法で資料用キリコ＆フィアナの写真集を作りました。ですから資料用写真には、よく見るとカメラを構えている自分も映りこんでいます(笑)
Ｎ：結構な枚数ありましたね。お世辞にも見栄えはよくありませんでしたけど(笑)ところで、この二人の立ちポーズは、どのシーンということでも無く、松浦さんが独自に決められたポーズでしたね。
松：そうですね、キリコのキャラクター性からすると極端な見栄きりポーズよりも、このくらいの力の入り具合が、自然だろうと思いました。いつもそうですが、実際に自分で納得するまで鏡の前で色々なポーズをとって決めています。決して人前では恥ずかしくてお見せできたものではありませんけどね(笑)
Ｎ：シワの入り具合なども絶品ですね。
松：自分が以前インラインスケートをやってましてユニフォームが残っており、そのヒザあてなどプロテクターもちょうど良い感じだったので、実際に自分で着た姿を身内に撮影してもらい、それを資料に造型したことでダブつき感などリアルに再現できたと思います。その他にも筋肉の表現などはボディビルダーの本なども参考にしています。ケースバイケースである程度の誇張などしてみますが、キリコは北斗の拳ほどの筋肉マンでもないと思いますので、あまりやり過ぎないようにも心がけました。
Ｎ：フィアナは個人的には顔と後姿に惹かれましたが、とにかくスタイリングが抜群でしたね。これも相当ポイント高いと思います。
松：ありがとうございます。フィアナはPSであるということから考えても、決して華奢な体形にしてはいけないだろうと思いました。ですから設定画よりも随所に演出を盛り込んであります。
Ｎ：そしてよく見ると二人のスーツの質感も素晴らしいですね。
松：そうですね、キリコはいわゆる軍服を研究してその雰囲気を醸し出すよう心がけました。ただ問題はフィアナのスーツで…。これはどうやって着たり脱いだりするのか悩んでしまって。特にピンク色のプロテクターの部分…。きっと、フィアナはPSだし特注のスーツだろうから、きっとプロテクターは伸び縮みも自在な特殊素材に違いない…とか考えながらつくっていました。
Ｎ：そして、ヘルメットの塗装にもこだわりの指定をいただきましたね。
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松：というか、提案してみただけですけどね。アニメではスーツと同じ色になっていますけど、実際はスーツとヘルメットとでは素材が違うのだから、全く同じ色合いの筈が無い…。ミニチュアモデルなので完全な光沢はオモチャっぽくなってしまうので、ヘルメットは半光沢くらいにして、スーツとの差を出してみては?とウェーブさんに軽く提案したくらいの気持ちだったんですけどね。実際、ＮAGAMIさんも説明して初めて気が付いた程度の差だったわけですしね。
Ｎ：いえいえ、そういった細かなこだわりの積み重ねで、こういった出来に繋がったのですからね。そして、今回はパーツの付け替えに関するアイデアもほとんど松浦さんからの提案でした。
松：ウェーブからの依頼は、何らかの付け替えギミックが欲しいといわれたものの、ヘルメットを被った状態とヘルメットを外して抱えたポーズは欲しいけど、あとは進めながら一緒に考えましょう!…と、とても抽象的で…というか、ぶっちゃけおまかせ＆押し付け状態(笑)ある意味自由なんですけど…実は考えるのが一番時間がかかりましたね。ただ、キリコにヘルメットを持たせるポーズの際、酸素ボンベ?をつかって穴を隠す案を思いついたときは、我ながらナイスだ！と思いました(笑)
Ｎ：そして、とにかく可能な限りサービス感ある内容にしていただきましたよね。自分は1/12アーマーマグナム単品なんていうのがさりげなく嬉しいと思っています。
松：そうですね。アーマーマグナムは、ホルスター脱着式ギミックにしてしまうと見栄えを損なってしまうので、ホルスターに入っているか、手に持たせているかの2択となるはずだったのをせっかくなので、オマケも付けてしまいましょうということで、最後に１セット余計に用意したんでしたよね。「コスト大丈夫ですか？」と聞いてもいつも、「大丈夫です♪」と軽く言われるので実は少し心配していたんですけどね。
Ｎ：そうでしたか、全然気が付きませんでした。最後にメッセージをお願いします。
松：皆様に気に入っていただけるかどうか分かりませんが、自分なりのキリコとフィアナは再現できたと思っています。また先日チェックさせてもらった製品サンプルも、とても良い感じで出来てきました。発売された際には是非皆さんに手に取っていただき見て欲しいと思います。宜しくお願い致します。
Ｎ：この度はどうもありがとうございました。それでは、引き続き、次回作の○薙○○も宜しくお願い致しますね(笑)
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