つづきです!
前回から2回に渡ってお送りする「マッドデントロイダー」フルスクラッチビルド。
“設計編”
に続き、今回は“組立編”です。 出力〜組立〜塗装の工程となります。デジタルとはいえ、実際の造形にはアナログな部分も多く、人の手が多く入って完成に至ります。
出力!
いよいよ出力です。今回は大部分のパーツを3Dプリンターで出力します。 3Dプリンター出力準備のため、データ上で平面状にパーツを配置していきます。細かいパーツなどは、ひとまとめにしてブーリアン(合体処理)しておくと、総パーツ数の節約となります。 出力サービスによっては、1ファイルあたりのパーツ数制限等がありますので、出力費用の節約にもつながります。
配置が終わったら、プリント出力のスタンダードなファイル形式である”STLファイル”へ変換出力します。 変換したら、netfabbBasic(STL形式のファイル処理のためのフリーウェア)を使い、データにエラーがないかチェックします。 このnetfabbは英語ソフトながら、簡単にエラーが修復できるのでお勧めです。
さて、エラーがなくなったら出力してもらいましょう!
3Dプリンターの出力業者に連絡し、データを送ります。 データを送付した時期が、ちょうどワンフェス直前だったので何日かかるかな〜とドキドキしていましたが…
出力完了!
ということで、大体2週間くらいでパーツが届きました。 忙しい時期だったはずですが思っていたより時間がかかりませんでした。業者さん、ありがとう!
パーツを切り離してバラバラにします。
この時、ニッパーを使うと余計なところまで割れてしまうので、リューターか、エッチングソーを使います。
パーツを磨きます!
出力が終わったパーツは、プリンター機種にもよりますがサポートがついています。これはプリント中にプリント物が動かないようにするためのものです。
今回の機種はワックスでのサポートになるので、手元に届く時には除去されているのですが、やはりサポートがついていた面はザラザラと荒れています。サポートは、ほぼ除去されていますが、残っているワックスも除去します。
泡タイプのキッチンクリーナーを吹き付け、数分放置したあとに歯ブラシでゴシゴシ擦ってから水洗いします。
さて、パーツ表面を見てみるとプリンターの積層痕が年輪のように見て取れます。ここからはこの積層痕を消していく作業となります。
まずは#400サンドペーパーで表面をやすりがけします。ここで一旦、サーフェイサー#500をひと吹きしておくと後の作業がスムーズです。#800〜#1000サンドペーパーで磨いていきます。スジボリ等が消えてしまったら、再現しておきます。
仕上げにサーフェイサー#1000を吹いて、確認します。
複製!
複数必要なパーツは複製して数を揃えます。
シリコンで型を取って、レジンで複製します。
組立てたけど!
パーツをパチパチと組み合わせていきます。接続に強度が必要な部分には1〜2mmの金属線等で補強をします。
ここで、ちょっと気になる部分が出てきました。右手首のジャバラパーツが不自然に曲がって造形されています。 もう一度、設計を見直して修正します。
修正した分は卓上CNCにて切削出力しました。 パーツどうしの嵌めあいなど、実際に組立て確認します。
塗装!
このマッドデントロイダーは元々、工業用の重機扱いなのでしょうか、ATの持ち物としては珍しくトラ柄の模様が入っています。 ここの塗装は、モデリングの段階でスジボリをモールドしていますので、白、黄色、黒の順でマスキングして塗装します。
1.濃グレー:
Mrカラー 328ブルーFS15050
+ 2ブラック + 327レッドFS11136
2.淡グレー:
ガイアカラー AT-17ホワイトグレー
+ AT-18ダークバイオレット
3.レッド:
Mrカラー 327レッドFS11136
4.イエロー:
ガイアカラー AT-20オレンジイエロー
5.ブラック:
Mrカラー GX2ウィノーブラック
ブラウンベアーと!
今回はフィニッシャーさんの製作された「パープルベアー」作例と組み合わせることになりました。ブラウンに塗られたベアー、これもまたほどよくマーキングとウェザリングされていてカッコよく仕上げられています。これまでもウェーブで色々なアイテムを手がけているフィニッシャーさんとの事ですが、原型を担当した身としてはありがたい限りです。
さて、持たせてみましょう。
劇中の再現! そして!!
以上、ちょっと慌ただしくなりましたが、何とか無事、1/24マッドデントロイダー完成しました! ちなみに「パープルベアー」はもちろんのこと、手首のボールをBJ-04プラサポ①-1へ変更することによって、右の画像のようにインジェクションキット
「スコープドッグ ペールゼン・ファイルズ版」
へ 持たせることが可能です。
劇中に登場したあのシーンが再現可能となっております。
おかげさまで前回の記事での反応も上々だったこと、そして納品してウェーブのボトムズ好きの方々にもかなり評判が良かったようで、無事、製品化も進むようです。良かった、良かった。あ、でもよく考えたら、せっかく仕上げた作例ですが、バラして製品原型用にブラッシュアップしなければならないんだった… が、がんばります(泣)
パープルベアー
本体価格:¥22,800(税別)■2016年4月発売
■レジンキャスト製組立キット ■1/24スケール
■原型製作:市野 裕己(ノリモータース)【
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】
1/24 マッドデントロイダー 製品化決定!
2月下旬、当社オフィシャルサイトにて詳細公開!
上の作例で完成したマッドデントロイダーが緊急製品化!2月22日(月)より受注開始!!
1/48ヴェルビン原型完成!
4月下旬、当社オフィシャルサイトにて詳細公開!
1/24バーグラリードッグ【赫奕たる異端Ver.】製品化決定!
※原型製作スタート。詳細は随時公開予定。
1/100ザブングル、1/100エルガイム原型製作快調!近日公開予定。乞うご期待!!
Producer’s Voice
本シリーズの企画・制作を担当している開発部の永見です。
ご覧のとおり、マッドデントロイダー完成しました!思っていた以上に立体映えしていると思っていますが、いかがでしょうか?商品化出来たらいいな〜と思っておりましたが、完成した実物を見て 「これはもう商品化しないわけがない!」 と確信し、ここまで大急ぎで進めました。22日(月)より受注を開始しますので、宜しくお願いします。
そして前回のプレモニで予告したレジンキット1/24ATシリーズの新作ですが、昨夏のリクエストアンケートで上位だった
バーグラリードッグ【赫奕たる異端Ver.】
が満を持して製品化決定です。赫奕たる異端版のバーグラリードッグは10年前、プラモデルの改造パーツセットとして一度製品化したこともあるのですが、今回はもちろん、全パーツ完全新規原型となります。担当する原型師さんも皆さん納得のベテランの方が手がけますので、ご期待ください。
最後に次号のプレモニの作例について、オリジナルオージェで何か出来ないかな〜と考えていたのですが、マッドデントロイダーが良い感じだったこともあって、現在も色々考えており、まさに今、仕込みをしている最中です。ご期待ください。
プロデューサー 永見浩士 (ウェーブ開発部)
[ウェーブ・プレミアムモデルNEWS! ]次回は3月18日(毎月第3金曜日)更新です。ご期待ください。
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