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誰でもできる♪ 原型師直伝ガリアン攻略ガイド!! 第1回

EEEシリーズ『ガリアン』。
スタイリング検証の為だけにクレイモデルを製作し、徹底的に練られたエクステリア。大きな可動範囲による楽しさと見栄えのするポージングを実現したアクション・ギミック。原型師の熱意とオーラすら伝わってくるキット構成と作る楽しさを存分に味わえるパーツ群。

ウェーブは岬光彰という希代の造型家とタッグを組み、一年以上の歳月を経て、2013年、遂に究極の機甲兵ガリアンのモデルキットを誕生させました。

  …とそんなキットが簡単・簡潔に紹介できる訳もなく、またせっかく生み出された究極クオリティのガリアンのキットの魅力をぜひ多くの方に知っていただきたい…。そこで、まずは原型を手がけた岬光彰氏自らによって、「誰でもできる」、そして「ワクワク楽しむ」ためのガイドを用意いたしました。
ここでは、キットの成型色をいかし、大掛かりな作業をしなくても充分に見ごたえのあるガリアンを作ることができ、更にこのキットの凄さを味わい楽しみながら完成できるよう解説していきます。 本キットに限らず、レジンキット製作のためのスペシャルテクニックも随所に盛り込まれていますので、ぜひ参考にしてください。


ガリアン攻略ガイド、第1回目は、カラーレジン成型についての紹介から、基本的なゲートの処理パーツの歪みの修正などの、キット制作全体を通して必要とする作業の紹介と、実際に腕部を組立てる際の流れ等を紹介していきます。
このまま下へスクロールするか、左側のリンクから、気になる項目をクリックしてください。

それでは、ご覧ください!

1:カラーレジン成型について
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今回発表となりましたガリアン。前のバイファムと同じくカラーレジンでの成型となっております。
写真は肩から前腕の外装パーツで、白・黄色・赤の三色で構成。無塗装で組み上げても劇中のイメージの再現ができますし、仮組みの際のイメージ確認や、塗装派の方の場合、マスキングの手間を省く事もできます。

パーツ状態で見ると一見、多色成型のプラモデルのようですが、レジンキットなりの作る際のコツ等はこれまでのレジンキットと同じなので、その辺りをこのコーナーでは解説していきたいと思っています。

2:ゲートの処理
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2-1:アンダーゲート
色違いのパーツが組み合わさる部分にゲートが入る個所は ほぼ“アンダーゲート”での型の設計が行われています。 ゲート処理の削り込みやヤスリがけでの、パーツの輪郭の変化を少なくできるので、丁寧に処理すれば問題なくパーツ同士の組み合わせができます。

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2-2:アンダーゲート部の処理
ニッパーでゲートを短くカットして、デザインナイフでゲートの部分のみを 慎重に切り離します。600〜1000番位のヤスリでエッジのやや内側に入ったパーティングラインを軽く仕上げています。

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2-3:仮組み
前腕のパーツを仮組みしてみました。 型抜きの際の変形もほぼなく、キレイに各色が組み合わさっています。

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2-4:パーツ表面にゲートが入っている場合の処理
写真はスネの後ろ側の装甲パーツです。 「2-1」の写真のアンダーゲートと異なり、パーツ表面にゲートの位置のある 通常のゲートの構成の物です。

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2-5:ニッパーでカットされたゲートの図解
ニッパーでゲートを処理した場合、図のようにカットされた面には無数の微細なクラック(ヒビ割れ)が発生します。極薄刃の物や、高級品の切れ味の良いものほどこのクラックの発生は抑えられる傾向があります。パーツに近い位置でカットをすると、クラックがパーツ本体まで達して 処理跡が白っぽく見える「白化」状態になってしまうので、カラーレジンの成型色を活かす場合は、影響が出ない程度にパーツ本体から離れた位置をカットすると、後の処理が楽になります。

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2-6:「白化」状態の例
白化状態の再現のため、ゲートをカットしてみました。矢印の部分がランナーの他の部分よりも白っぽくなっている事がわかると思います。パーツ表面にこの白化ができてしまうと、成型色を活かして組み上げる際にはその部分だけ部分塗装が必要となるなど、手間が増えてしまうので 赤や黒、濃いグレーなど、濃い目の色のパーツの処理の際には特に目立つので、気を付ける必要があります。

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2-7:切り出し
ややゲートを長く残してカットしました。

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2-8:デザインナイフでギリギリまでカット
よく切れる新品の刃を必ず使用して、一度に削る量をできるだけ少なく、 薄い削りカスを刃先で作るようなイメージでゲートの処理を行います。

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2-9:ヤスリで削る
600〜1000番程度でヤスリがけをして完成です。 ついでに周囲の面の表面も整えてしまいます。

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2-10:ゲート処理の完了したパーツ
離れた位置でニッパーでカットし、デザインナイフ→ヤスリと丁寧に仕上げることで 白化も起こらず、きれいに処理する事ができました。

3:パーツの歪みの修正
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3-1:パーツの歪み
レジンキットの場合、型や樹脂の特性上どうしても 歪みの出るパーツは出てきてしまいます。写真の前腕のパーツのような薄い板状のパーツも症状の出やすい形状の一つで少し反ってしまっています。

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3-2:湯煎
60〜70度程度のお湯に十数秒パーツを浸します。1〜3mm程度の薄いパーツの場合、高温の熱湯を使用すると、パーツ全体に逆に歪みが出て、平面部分などが完全には元に戻らなくなってしまう事もあるので、特にメカ系のレジンキットの場合は注意が必要です。(注:ヤケドしないよう熱湯に気をつけてください)

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3-3:平面に押し当てて熱を冷ます
湯煎でパーツが柔らかくなったら、お湯の中からそっと取り出して 定規等平面のキッチリと出ている板に軽く押し当てながら熱を冷まします。

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3-4:組み合わせて確認
反っていたパーツが湯煎加工で平面な状態に戻りました。

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3-5:ドライヤーでも可
ドライヤーの場合、写真のような感じで、適度に離して温風をあてると良いでしょう。温風が当たる面が限定されるので、薄い&小さなパーツや、パーツの一部の面を加温したい場合に有効です。熱湯で温めるのと同様に、ヤケドしないよう気をつけて作業してください。

4:前腕を組んでみる

今回のキット、前腕や上腕等に接着剤やテープがほぼ不要で仮組みや組みたてのできるように、「組木細工」的なパーツ構成を取り入れています。ゲート処理の済んだパーツの仮組みでその辺りをちょっとご紹介。

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4-1:仮組1
前腕の白い部分の左右のパーツを組み合わせます。

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4-2:仮組2
手首につながる部分の四角いリング状のパーツで 「4-1」のパーツが左右に広がらないように固定します。

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4-3:仮組3
前腕の内側の装甲パーツで合わせ目を隠します。このパーツ自体も上の方がフック状になっていて、差し込むと半固定状態になります。

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4-4:仮組4
黄色いラインのパーツのフック状になっている部分を白いパーツの手首側に引っ掛けながら組みます。

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4-5:仮組5
ヒジ側にストッパーパーツを装着します。手首側のフック状の部分とこのストッパーで、白いパーツに黄色いパーツが固定されます。

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4-6:仮組6
ポリパーツと低収縮硬質レジンの軸を接着し、硬化後組み合わせます。

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4-7:仮組7
手首側の内側部分にメカパーツを挿入します。

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4-8:仮組完成
ポリパーツと軸パーツの接着のみでこの状態に組みあがります。各ブロックごとのパーツわけになっているので、接着線の処理等も不要で、塗装をする場合も、各色に塗ってから組み上げることが可能です。

5:上腕
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5-1:コの字型のパーツの歪み
奥行のある「コの字型」のパーツの場合 シリコン型から取り外す際に、どうしても図のようにパーツが広がりがち…という事で、上腕のパーツも湯煎で歪みを修正しました。

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5-2:湯煎
70度程度のお湯で30秒ほど温めました。

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5-3:形を整える
お湯から取り出し、黄色いパーツをはめて両側面にプラ板を当てて、やや強めに力を加えて歪みを修正します。

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5-4:ヤスリで表面を整える
離型剤落としも兼ねて、表面を薄皮一枚削るイメージでヤスリで仕上げました。

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5-5:上腕の仮組
上腕が組みあがりました。
上腕も、底面のグレーのパーツで赤と白のパーツを止めることで非接着で組んだ状態の確認ができる、簡易的な組木細工構造になっています。

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ゲート&パーティングライン処理が終わった仮組状態の腕パーツ。

6:関節

今回のキットで特徴的な低収縮レジンを使用した関節部分を解説していきます。

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6-1:低収縮硬質レジンによる関節パーツ
従来モデルガンのレジン複製や一部工業製品の試作品用に使用されていた、高強度&低収縮タイプのレジンを関節パーツに使用しています。関節の原型状態の回転軸の“渋み”をほぼ同レベルで複製パーツで再現する事ができて(あくまでも“低”収縮なので100%ではありませんが…)硬質のABS樹脂に近い強度があるため、軸が根元で折れるなどのトラブルも防ぐことができるようです。2液性のレジンなのでABS樹脂の欠点である耐溶剤性に低さもなく、スミ入れやウォッシングなども可能です。

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6-2:実例
ヒザ下で200g以上あるガリアンのパーツも、問題なく保持する事ができます。

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6-3:剣や砲身への使用
通常のレジンの苦手とする剣状のパーツや、砲身のパーツも低収縮硬質レジンにて成形されています。従来のキットだと、ホワイトメタルや真鍮の挽き物が主流でしたが、低収縮レジンを使用する事で「カラー化」と「軽量化」を実現しています。

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6-4:関節の渋みを確認
低収縮硬質レジンで成型されている、ひじの関節のパーツを組み合わせてみました。成型の際の個体差で、この関節だけ少し渋みが足りないので、黒瞬着を、軸を差し込む穴の内側に塗布します。

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6-5:使用する黒瞬着
今回WAVEの黒い瞬間接着剤を使用しましたが、綿棒に付けた際に、即硬化してしまわないタイプの、比較的効果の遅い瞬間接着剤であれば他の物でもOKです。

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6-6:綿棒で塗る
綿棒に瞬着を適量付けて「クルクルッ」と綿棒を回しながら、塗膜が出来るだけ均一になるように軸受けの内側の面に塗ります。今回は同じ作業を2回繰り返して丁度良い関節の硬さに調整しました。

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6-7:図解
通常のレジン(硬質ポリウレタン)ですと、軸受けの穴を瞬着でキツくしても、軸を差し込むと樹脂自体が柔らかい為にパーツが外側に広がって、またすぐに緩くなってしまうのですが、低収縮硬質レジンの場合、樹脂の硬度と強度が高いので関節の渋みを維持する事ができます。

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6-8:パーツの組み合わせ
瞬着による調整で「キュッ、キュッ」っと言う感じのキツめの調整ができました。

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6-9:実験
「キュ、キュッ」っと文字で書いても伝わりづらいのでちょっと実験です。ひじ関節の5mm軸に約7cmの長さのパイプをセットして、その先に約110gの接着剤のビンを吊るしてみました。
この状態で、1〜2分かけて徐々に軸が下まで下がりきる感じです。ひじ関節の先に取り付ける「前腕」「ハンドパーツ」「剣」のパーツを合計した重量がだいたい50 g程度なので、この位の関節の強度があれば問題ないと思われます。

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6-10:入りづらい場合…
逆に軸が穴に入りづらい場合は、軸の先端を軽く斜めに削っておくと挿入しやすくなります。

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6-11:入りづらい場合…2
軸棒を通して回しながら奥まで挿入します。

7:ポリキャップのカット用の治具
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7-1:ポリキャップのカット用の治具
今回のキットでは低収縮硬質レジンの関節パーツ以外にもポリエチレン樹脂性のポリキャップ関節を部分的に使用しています。パーツのスペース的に軸のカットが必要な部分の為に、写真のような治具が付属しています。

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7-2:使用方法
穴に軸棒を差し込んで…

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7-3:カット
ナイフやニッパーで治具の面に合わせてカットします。

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7-4:カットしたポリキャップ
説明書に指定があると「面倒だなぁ…」と思うPCのカットですが、治具を使う事で寸法を測る手間がなくなり、ちょっとだけ作業が楽になっているかもです。

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